DFアロー
機材について

総論 | 録音機 | マイク
総 論
録音機材の選択                                    

昔から”弘法は筆を選ばず”と言うが、鉄道録音の場合にこれが当てはまるかというと、答えは「NO」だと思います。モーターバイクに乗ったF1レーサーが初心者の運転するスーパーカーより速く走れるかというとそうではないのと同じです。ハード(機材)とソフト(知識・経験・技能)は車の両輪だと思います。

ですので、まずは「現場の臨場感の再現」のためには、最低限ステレオの機材であることが大切と思います。私の経験でも、中学生の頃にもモノラルのラジカセで現役時代最後の蒸気機関車を録音していましたが、ただ音が出ているだけで”まあこんな感じだったかな”程度の結果にがっかりして、さらに当時のレコード会社の録音スタッフの録音と比較してその差に愕然としたものでした。ステレオ録音のできる機材であれば、たとえ相対的にヒスノイズの目立つカセットテープによる録音であっても、左右のチャンネルで録音時、再生時ともに音が異なりますので、立体音響となります。現場の臨場感を大きく再現することができます。

そこで、私が今までに使用してきたステレオ録音機材(録音機・マイク)について、性能を示すカタログ値や使ってきた印象などについて述べたいと思います。始めにお断りしておきますが、私が今までに使用してきたあるいは現在使用している機材の数は決して多くはありません。おそらく”こんなものか”と思われることと思います。録音歴の割に使用した機材が多くないことは、特に学生時代に経済的な理由があったからでもありますが、機材をあれこれ使ってみるよりも、「現場に多く出かけてなんぼ、使いこなしてなんぼ、経験を積んでなんぼ」と考えていたからでもあります。

今となっては、一つの機材に執着しすぎて「機材更新」のタイミングが遅れた(特にマイク)のは、私どもDFアローの非であったと思う次第です。しかしながら、それぞれの機材を使用して感じたことも多々ありますので、述べてみます。既に”絶版品”となっている機材もありますが、参考にしていただければ幸いです。以下あくまでも、私どもが使用して感じた内容で、個人的な主観であることをお断りしておきたいと思います。

一番最初に制作したステレオ録音テープ「DF50」の
原盤テープ・解説書やその当時の機材
1992年12月撮影
総論 | 録音機 | マイク
録 音 機

録音機@:TC−3000SD
録音機@:TC−3000SD(ステレオカセットテープレコーダー)
発売:1976年  メーカー:SONY  購入:1978年11月
生録ブームだった当時に”デンスケ”という登録商標で有名になったSONYのステレオカセットテープレコーダーの一つであった。最高級機ではなかったが、当時としてはハイレベルな機材であった。カセット・メタルテープの登場する直前に、最高品質の録音のできる今は無き「TAPEVポジションテープ:DUAD」が使用できるものだった。
録音使用:1978年11月〜1990年10月、その後1995年1月に一度だけ使用したことがある。

性能
周波数特性:20〜16,000Hz(Fe−Cr、CrO2カセット使用時)
信号対雑音比(S/N比) :64〜69dB(Fe−Crカセット使用、ドルビーNRスイッチONにて)
歪率:1.3%
ワウ・フラッター(回転むら):0.08%(WRMS)
AC外電源連続録音持続時間:単一アルカリ電池4本(カタログ値なし)
重量:4.6Kg(電池挿入時)

長所
1:人間の耳で聞こえる音域の上限:16,000Hzまでの音域を録音可能であったこと。
2:ショルダータイプのキャリングケースに入れて肩掛けで持ち運びできたこと。
3:単一乾電池4本使用により、野外で使用可能だったこと。
4:バッテリー残量チェック機能が付いていたこと。

短所                                            1:2層塗りの高性能カセットテープ(TAPEV・DUAD)を使用するためヘッドの磨耗が速く、ヘッド交換の頻度が多かったこと。
2:ヘッド磨耗が速いため、特に左チャンネルのプチプチノイズが比較的多く発生したこと。
3:肩掛けの持ち運びができたとはいえ重量が約5Kgもあり、徒歩で地上音収録に向かう時は特に夏季に負担となったこと。

評価                                            人間の耳で聞こえる音域までステレオ録音できるという魅力は大きく、DAT録音を開始するまで10年以上にわたり使用した。上記で述べた短所・欠点はあったが、現在の小型軽量高性能機材と比較すると重いながらも、使いやすく優れた録音機であったと感じている。評価点:80点


録音機A:TCD−D3
録音機A:TCDーD3(デジタルオーディオテープレコーダー)
発売:1990年  メーカー:SONY  購入:1991年11月
ポータブルタイプデジタル録音機器の草分け的存在のテープレコーダーである。小型軽量で手の平サイズの高性能機ということで、時代の進歩を大きく感じた。このような機材を1970年代のSLブームの頃に手にすることができていたらと強く感じた。反面、使用し辛いところがあり、次世代の改良機に期待したことも事実であった。
録音使用:1991年11月〜1995年10月 

性能
周波数特性:20〜22,000Hz(Fs48kHz)
信号対雑音比(S/N比) :90dB以上
歪率:標準(SP)モード:0.008%以下、長時間(LP)モード:0.09%以下
ワウ・フラッター(回転むら):±0.001%W.PEAK以下
AC外電源連続録音持続時間:バッテリパックフル充電時2時間以下
重量:約630g(含バッテリーパック)

長所
1:従来使用していたデンスケと比較して、38%も高い高音域まで録音可能という高性能であったこと。
2:従来のデンスケと比較して、録音時重量がわずか14%の小型であり、スペースを取らず、カメラバッグへの収納が可能となったこと。
3:曲の頭出しの記録・番号付けが可能な機能が付いており、CD化編集作業が楽になったこと。 

短所
1:AC外電源はバッテリーのため、一つのバッテリーで2時間以上の長時間録音に対応できないこと。
2:バッテリーの持続時間は最大で2時間であり、使用回数が増えるにつれて持続時間がかなり短くなったこと。
3:バッテリーは寿命の割に高価であり、コストパフォーマンス(費用対効果)が低いと感じられたこと。
4:バッテリー残量警告表示機能はあるが、警告後わずか5分間しか録音ができなかったこと。

評価
小型軽量で高品質の録音が行えたことが最大の魅力であり、使用開始後まもない頃は大きく評価した。しかしながら、上記のような短所もあり、実際に現地で使用してみるとかなり不安になる場面がたくさんあった。バッテリーに起因する列車添乗音収録失敗が多々あった。性能・利便性は抜群であったが、使いやすさでは不合格点だと感じた。野外録音には向かず、AC電源使用の室内録音向きと感じた。評価点:70点


録音機B:TCD−D8
録音機B:TCDーD8(デジタルオーディオテープレコーダー)
発売:1995年  メーカー:SONY  購入:1995年10月
ポータブルタイプデジタル録音機器で乾電池使用タイプ:TCD−D7の改良版のテープレコーダーである。小型軽量で手の平サイズのメリットを維持しつつ特に野外録音での使いやすさを追求した製品となっていて、比較的長く愛用した。反面、携帯電話の普及に伴い列車添乗音収録の際にその電磁波の影響を受ける場面がかなりあった。その点が残念であった。
録音使用:1995年10月〜2001年11月

性能
周波数特性:20〜22,000Hz(Fs48kHz)
信号対雑音比(S/N比) :87dB以上
歪率:標準(SP)モード:0.008%以下、長時間(LP)モード:0.09%以下
ワウ・フラッター(回転むら):±0.001%W.PEAK以下
AC外電源連続録音持続時間:単三アルカリ乾電池4本使用で3時間(モニター無しの場合は4時間)
重量:約510g(含乾電池)

長所
1:TCD−D3の優れた点を踏襲して、さらに使いやすさを追及して連続録音可能時間が約2倍に延びたこと。
2:軽量小型で扱いやすいこと。
3:時計機能が付き、録音時に録音日時の記録ができること。 

短所
1:録音開始時を自動的に曲の最初と記憶してしまい、当機本体を使用することによる曲出し位置の変更およびプログラムNOの記録位置変更が行えないこと。
2:電磁波(特に携帯電話)の影響を受けやすく、録音中に近くで使用された場合、大小かなりのノイズが入ること。
3:マイク差込の際のショックが「残留ノイズ」として記憶され、以後録音中に突然「プツ」というノイズが入ることがあること(SONY社もこの点は設計ミスと認めていると言われる)。

評価                                            TCD−D3の問題点を見事に改善しており、とても使いやすくなった点が評価できる。しかしながら、上記の通り本体自身と外的要因により録音中にノイズが多々入るようになったことが気になった。使用する側としては、ノイズ対策が課題と思えた。評価:75点


録音機C:TCD−D100
録音機C:TCDーD100(デジタルオーディオテープレコーダー)
発売:1997年  メーカー:SONY  購入:2001年12月
TCD−D8の改良版のテープレコーダーである。特に野外録音での使いやすさを維持しつつ録音後の編集作業も行えるようにしてある。ノイズ対策も施されている印象を受ける。実際に使用した限りにおいては、TCD−D8よりも携帯電話の電磁波の影響を受けにくいようである。また乾電池バッテリーアダプターを併用することにより、連続9時間録音が可能であり、野外録音にはもってこいの機器である。
録音使用:2001年12月〜現在

性能
周波数特性:20〜22,000Hz(Fs48kHz)
信号対雑音比(S/N比) :87dB以上
歪率:標準(SP)モード:0.008%以下、長時間(LP)モード:0.09%以下
ワウ・フラッター(回転むら):±0.001%W.PEAK以下
AC外電源連続録音持続時間:専用バッテリーパック(単三アルカリ乾電池6本使用・モニター無し)で9時間
重量:約395g(含乾電池)

長所
1:TCD−D8の優れた点を踏襲して、さらに使いやすさを追及して連続録音可能時間がさらに2倍以上にに延びたこと。
2:軽量小型で時計・編集機能もあり、取材直後に現場での編集も可能なこと。
3:電磁波の影響を従来機より受けにくいこと。

短所
1:挿入DATテープをSPモードで録音時に、録音時間がテープの3/4をすぎたあたりからノイズが入る場合のあること。

評価
上記の不具合を感じる以外はとても使用しやすい機器であると感じる。この機器の登場で高品質の長時間録音を安心して行えるようになったと思っている。評価:95点

MDについて

現代の若者を中心に普及しているMDであり、これで録音している方も時々見かける。しかしながら、私自身はMD機材を一度も購入したことがなく、当然これで録音した経験がない。従って、MDに対する評価は控えるが、なぜ購入・使用しなかったかを以下に簡単に述べる。

1:MDとDATを性能面で比較すれば、周波数特性でわずかながらDATが優れていること(DAT:22,000Hzに対してMD:20,000Hz)。

2:長時間録音が行えないこと。ステレオ最大連続録音が80分では、特に寝台特急などの夜間に走行する長距離列車の添乗音収録がかなり難しくなること(仮眠を取らずにほぼ1時間おきに起きなくてはならない条件では、ほとんど徹夜しなくてはならないことに等しいため)。

3:長時間録音をするために長時間モード(LPモード)にすればモノラルになってしまうこと。


今後の使用録音機について

私自身は今後もDATを基準としたデジタル機器を使用して行くと思う。しかしながら、2004年6月にSONY社は、「最大45時間録音できる録音・再生機:Hi−MD」を発売するとしており、投資して試用してみる価値があると感じている。DATの優れた録音・再生性能を維持しながらさらに長時間連続録音のできること、コストパフォーマンスに優れていることを期待したいと思う。SONY社もDATに関しては、新規ニーズの拡大も見込めないことから今後新規機材の開発を行わず、こちらに注力していくと思われる。従って、私どもも将来的にはこの機材使用一本化にして行くことも考えられる。
総論 | 録音機 | マイク
マ イ ク
マイク@:ECM−990F(ワンポイントステレオ・エレクトレットコンデンサー型)   メーカー:SONY   1978年11月購入
ワンポイントステレオマイクロフォンで、指向角度が4段階(90゜、120゜、150゜、180゜)に切替可能なものであった。当時より並行して写真撮影を行う取材形態をとっており機動性を重視していたが、手軽に迫力あるステレオ録音を行うことのできる機能であったと思っている。性能的にも、デンスケ:TC−3000SDにマッチしたものであった。ウインドスクリーンは付属しておらず、タオルを巻いて紐で固定して録音していた。常時タオル装着で行っていた。
録音使用:1978年11月〜1990年10月、その後1995年1月に一度だけ使用したことがある。  

性能
周波数特性:50〜16,000Hz
信号対雑音比(S/N比) :不明(現在説明書無し)
正面感度:不明(現在説明書無し)
ウインドスクリーン付属無し

長所
1:人間の耳で聞こえる音域の上限:16,000Hzまでの音域を録音可能であったこと。
2:指向角度切替スイッチが付いており、動きのある列車の録音にも十分対応していたこと。
3:機動性に優れていたこと。

短所
1:もともと風には弱いコンデンサー型(相対的にダイナミック型は風に強いと言われるが、私は使用経験無し)であるため、タオル常着が必要だったこと。
2:ウインドスクリーンが付属していなかったこと。

評価                                            デンスケ対応のマイクとしては十分な性能・機能を持っていたが、ウインドスクリーンが付属していなかったのは残念であった。
評価:85点


マイクA:ECM−959(右)とマイクB:AT822(左)
マイクA:ECM−959(ワンポイントステレオ・エレクトレットコンデンサー型)   メーカー:SONY   1991年11月購入

ワンポイントステレオマイクロフォンで、指向角度が4段階(90゜、120゜)に切替可能なものであった。購入当時は、DAT:TCD−D3対応のマイクとしての性能を十分に持っていた。ウインドスクリーンも付属して、常用してほぼ十分な風防効果が得られた。一時期、風防効果を高めるためさらにタオルを巻いて紐で固定して録音していたが、これは過剰風防となり、やや音質劣化を招いている。
録音使用:1991年11月〜2002年9月

性能
周波数特性:50〜18,000Hz
信号対雑音比(S/N比) :不明(現在説明書無し)
正面感度:−48dB±3dB
ウインドスクリーン付属

長所
1:人間の耳で聞こえる音域以上の18,000Hzまでの音域を録音可能であったこと。
2:指向角度切替スイッチが付いており、動きのある列車の録音にも十分対応していたこと。
3:機動性に優れていたこと。

短所
1:指向切替スイッチは2段階(90゜、120゜)であり、列車の移動感を強調したい場合にはやや機能不足に思えたこと。
2:性能が上回るECM−999と比較すると、「収録される音の線が細く、音の迫力が劣る」と感じられること。

評価
初期のDAT対応のマイクとしてはほぼ十分な性能・機能を持っていたが、後継DAT録音機が登場するとやや性能不足であった。
評価:80点

マイクB:AT822(ワンポイントステレオ・バックエレクトレットコンデンサー型)   メーカー:オーディオテクニカ   2002年10月購入
ややこじんまりとした印象を受けるマイクであるが、指向角度が110゜固定でやや臨場感が狭まりながらも、音の奥行きを感じさせる録音のできるよいマイクであると感じる。場所を取らず、小回りの利く録音が行える。付属のウインドスクリーンは常用することが必要と感じるが、ローカットフィルター併用によりほぼ十分な風防効果が得られると感じている。
録音使用:2002年10月〜現在 

性能
周波数特性:20〜20,000Hz
信号対雑音比(S/N比) :72dB以上
正面感度:−45dB
ウインドスクリーン付属

長所
1:人間の耳で聞こえる音域をはるかに上回る20,000Hzまでの音域を録音可能であったこと(かなり奥行きのある録音が可能)。
2:軽量小型の形状で、手軽に高品質録音が行えること(電車の座席下などへの設置も十分に可能)。小回りの利くこと。

短所
1:指向切替スイッチの付属しない指向角度110°固定では音の広がりがやや弱い録音となること。
2:ポータブルDATへ接続するミニプラグ用マイクケーブルが、0.5mしかなく、基本的に録音位置の高い地上音収録が行えないこと。

評価
手頃で高性能なマイクであると感じている。鉄道生録においては、添乗音収録で小回りが利いて比較的使用しやすいが、地上音収録においては、前述の通りやや制約があると感じている。
評価:85点


マイクC:ECM−999
マイクC:ECM−999(ワンポイントステレオ・エレクトレットコンデンサー型) 発売:1992年 メーカー:SONY   2003年9月購入
がっちりとした重量感と安心できる性能・機能などもっとも信頼できるマイクであると感じる。印象としては、ECM−990Fのデジタル録音対応版である。収音方向が他のマイクと異なり、基本的に垂直に立ててセッティングするところが特徴である。付属のマイクケーブルは、ミニプラグ対応ではなく、左右チャンネルに分離した標準プラグ対応であった(長さ5m)ため、ミニプラグ対応のケーブル(長さ2m・ECM−MS957用のもの)に交換して使用している。このマイクもウインドスクリーン・ローカットフィルター併用によりほぼ十分な風防効果が得られると感じている。
録音使用:2003年9月〜現在

性能
周波数特性:20〜20,000Hz
信号対雑音比(S/N比) :68dB以上
正面感度:−48±3dB
ウインドスクリーン付属

長所
1:人間の耳で聞こえる音域の上限をはるかに上回る20,000Hzまでの音域を録音可能であること。
2:指向角度切替スイッチが付いており、動きのある列車の録音にも十分対応していること。
3:機動性に優れていること。
4:風対策が十分施されていること。
5:マイクケーブルの長さも十分であり、背丈ぐらいの高い位置にマイクを設置しての地上音収録も可能なこと。

短所
1:他マイクと比較するとやや大型であり、小回りが利かない。それゆえ、座席下などに設置固定して録音する場合は設置に時間がかかる。手持ち録音はやや負担となる。

評価
ワンポイントステレオマイクとしては、最も優れたものであると感じている。性能・使いやすさともに小回りが利かないこと以外は申し分ない。
評価:95点

ペアマイクについて
単一指向性のモノラルマイクを左右のチャンネルに好みの位置に設置して録音できるペアのセパレートタイプのマイクは、オーディオ用として本格的なステレオ録音を行うのに有効であると思っている。しかしながら、私どもDFアローの活動は、鉄道車両の姿を写真で記録してなおその生々しい迫力を記録していくことなので、基本的に両立することが難しい写真と録音をセットで考えている。両立を可能にしていく手段の一つが「機動性のある機材の活用」である。それゆえ、機動性に乏しいペアマイクはどうしても私どもにとっては疎遠な存在であった。記録することに対する考え方・方法は人により千差万別である。並行して写真撮影は行わずに、オーディオマニアの方がペアマイクを使って録音だけを行っていくスタイルがあってもそれはそれでよいと思っている。

集音器について
鉄道ファンの方の鉄道CDに対するニーズは、電車・気動車の添乗音が圧倒的である。それゆえ、復活蒸気機関車や貨物列車の録音を地上から行うことはとても回数が少なくなっている。加えて鉄道車両はもともと大きな音を発するものである。私どもは「遠くの小さな音源の音を拾う」目的の集音器の必要性をさほど感じてこなかった。山中で小鳥や虫の録音を行う目的の時に有効であるという考え方であった。しかしながら、早朝・夜間の列車通過音を地上から収録する場合に、遠くから近づいてくる前の遠方の音を大きく収録することができると思う。このような時に使用してみるのも一考と思っている。
総論 | 録音機 | マイク