講師例会   日時    2006年3月17日(金) 6:00PM〜
  場所    倉吉シティホテル
講師紹介
講師 鳥取県文化観光局観光課観光コーディネーター   中島文夫氏
略歴 (社)日本観光協会のカリスマ観光アドバイザーに認定され、滋賀県、
三重県等で着地型観光推進のため人的資源を含む地域資源の掘り起こし
等を行う。
その後、平成17年4月1日より、県内にある歴史、文化、自然などの資源
を掘り起こし磨き上げ、及び、県内外への情報発信を行うため「観光コ
ーディネーター」として、全国公募により鳥取県に採用。
                 着地型の観光案内を提言
以下は講演内容の抜粋です。極力短文化しており、不足の点等は全て記録者の責任です。

お金を県内に落としていただくために、観光客をどうやって取り込むか?
今までの観光案内ではだめであり、着地型の観光案内を提言する。

・観光客は、個人も団体も、ニーズが多様化し自ら観光地情報を収集している。
・旅行予定者がプランを考える時、初めに旅行会社のパンフレットを集めることが最も多い。
  無料のパンフレットを見てある程度の候補を決めた後、有料の本を買う、あるいはインタ
  ーネットで詳細調査する。
・旅行社が作成するパンフレットは大きな意味を持ち、観光客を送ってくれる。旅行社への
  対応は重要。
・ただし、旅行社の商品は基本的に変化が少なく、近年の観光ニーズに対応しきれていない。
  旅行社自らが新しい旅行商品を望んでいる。
・旅行社の勤務経験があるが、鳥取県に行ったり見たことのない職員が旅行商品を作っている
  場合がある。
・地域に暮らしている人が、地域の歴史風土、食物飲物等、地域の魅力を最も知っている。
・彼らが旅行商品を企画し旅行社に売込ことが重要。旅行社にプラン作成を依頼することは得
  策ではない。
・某県が費用を負担して旅行社にプランを依頼した実例があるが、旅行社もありきたりのプラ
  ンしか思いつかない。
・観光協会がキャラバン隊を組み、お願い行脚する例も多々あるが、過去の価値に基づいた綺
  麗な場所を紹介するだけで競争力に乏しい。
                                                         倉吉に観光客を誘致するための進行中のプラン
谷口ジローのコミックと町並
  コミック「遙かな町」に描写された景観23箇所が、実際に今の倉吉に残っている。
  コミックを片手に参照しながら倉吉の町中を歩いていただく、という旅行商品を某大手旅行

  社が開発中(コミックとガイドマップと筆記用具、半日コース)。
  何気ない路地にある食堂、スナックバー、古い看板等は、懐かしい妖しさを醸し出している。
  古い電気器具等も今からでも残しておく必要がある。
  コミックを片手に町歩きという商品は日本中例がない。
南総里見八犬伝
  里見の殿様が亡くなっただけでは面白く
  ない。
  八匹の賢い字がつく犬に擬したから面白
  い。八犬伝の発祥地として売り込む。
  大岳院で位牌を拝み、住職あるいは講談
  師の講釈を聞く、というツアーを近々発
  売予定。

淀屋
  時の政権によって取潰された時の番頭(牧
  田某)が倉吉で生き延び、大阪で再興した
  ストーリーは、大阪人は良く知っている。
  関西を主対象にして、淀屋ツアーを企画。
  上記同様に、大蓮寺あるいは講談師の講釈
  を取り入れる。
  倉吉市と県民局が想いを傾注している
そ     の    他        

  行って食べるだけの現在の梨園では今後廃れる。
  農家が大切に梨を栽培している姿を見せると都会人は感動する。
  土に親しむ体験メニューは今後増加する。


ワサビ田
  ワサビ田を見たこと無い人は多い。綺麗な自然とトレッキングを併せた体験型ツアー。

ブドウ
  自らジュースに加工して、瓶詰めして持ち帰る。

漁業
  近畿の某県の実例で、子供を養殖生け簀、筏まで運び、魚への餌やり体験。すごく人気が
  ある。

倉吉の町屋
  京都に実例多いが、借り上げて簡単な宿にし、低料金で連泊させる。トイレだけは近代的
  に改造要。
  町屋は倉吉の財産。これはNPOが運営に取り組む格好のテーマである。

古い町並テーマパーク
  九州の某所が「昭和の町」を宣言して多くの観光客を惹き付けている。
  それまでは朽ち果てた店舗や蔵があっただけであったが商工会議所青年部の運動が契機。
  打吹商店街の方が古い佇まいが残っている。

国鉄倉吉線跡地
  線路の跡地(盛土、トンネル等)を歩くツアー。今後とも線路を撤去しない運動要。

小泉八雲
  中山町で盆踊りを見て感動したそうだ。再度見たさに、お盆の時期、汽車が当時無いため
  人力車で再来し、海岸沿いの墓石群、灯籠等の妖しさ恐ろしさに身震いしたと随筆に書か
  れている。
  彼が新婚旅行で泊った琴浦町の中井旅館を売りだそう。

修学旅行
  従来型の京都奈良見学の修学旅行は体験型へ変化しつつある。既に半分以上は体験型の修
  学旅  行を取り入れている。
  京都奈良、広島への修学旅行は減少している。
  実例として、長野県の農村体験(リンゴの世話を一日中、民泊)、炭焼体験、蕎麦うち体験
  等で2万人が来県(京都奈良から移行)。あるいは、福井県でカッター体験(船漕はチーム
  ワークの実感)。
  鳥取県が修学旅行の誘致に取り組んでおり、関金、倉吉周辺における体験型商品開発が重
  要課  題になっている。

以上看てきた様に、地元で旅行商品を企画開発し旅行社に売込むことが重要であり、これに
興味を示す旅行社は増えつつある。地域がこの観点に立ち、受入態勢を整えなければならな
い。
予定していた時間が無くなり、以降は懇親会場での質疑応答となったため、記録は割愛いた
します。
(文責:牧野)