現場からの司法書士ガイド   全国青年司法書士連絡協議会発行より転載(転載許可済)

相続と登記
遺言をしておきたいが・・・
離婚したいが・・・
訪問販売と契約
サラ金から訴状が・・・
家賃の滞納
マイホームと司法書士
 司法書士は、不動産の売買・贈与・相続や会社の設立・役員の変更などの登記手続の代理をすることを仕事のひとつとしています。
 そのため、司法書士は「登記の専門家」としてひろく市民の皆さんに知られています。

 ところで、司法書士が「民事裁判の専門家」であることや、そのことに関連して、いろいろな法律問題の相談を受けている実情は案外知られていません。そこで、司法書士は市民の皆さんから実際どんな相談を受けているのか、全青司(全国青年司法書士連絡協議会)が実施したアンケートから、その一部を紹介してみましょう。  

 このアンケートは、全国に存在する全青司の全会員と、大阪府下の全司法書士(約1300名)を対象に実施されました。

 実際に、司法書士事務所へ持ち込まれている「登記以外の相談」について回答を求めたところ、次に列記する事案がかえってきました。

 借地・借家の賃料増額、養子縁組の手続、代理店契約、営業譲渡契約、刑事告訴、破産手続、債権回収、傷害の示談、子供の氏、時効取得、遺留分、帰化、土地の境界、リース契約、土地の管理調査、手付金返還、先物取引、学校事故、損害賠償、競売手続、扶養問題、公正証書作成、購入希望物件の調査、クレジット契約の解除、遺産分割の方法、財産分与、後見人選任、手形金請求、贈与、労災事故、保証契約の解除、競売物件の落札、禁治産宣告、交通事故、サラ金問題、異性問題、隣接地との争い、不動産の税金、暴力団追放、建物の修理費用、相続対策、調停、仮処分、支払督促、契約の条件変更、人権侵害などなど。

 みられるとおり、司法書士の事務所には実に多様な法律問題が持ち込まれています。

 日本では、欧米に比べ弁護士の数が少ないうえ、都市に偏在しているため、市民の皆さんが気軽に相談を持ちかけられる司法書士の存在は、法律問題の大変重要な「窓口」となっています。もとより、これらの法律問題は司法書士によってすべて解決されるものでもありません。弁護士や税理士、さらには土地家屋調査士など、他の専門家の領域に属する事案も少なくありません。そうした問題は、適切な方法で、他の専門家の手をかりねばならないでしょう。

 ただいえることは、司法書士は全国に均在し、市民の皆さんの一番身近にあって気軽に相談できる法律実務家だということです。