強制執行について
勝訴判決などを得たのに相手方が金銭を支払わない場合、現実に債権を回収
するするための手段として「強制執行」があります。
<申立の準備>
@相手方の財産の調査
相手方の財産を調査し、何を差押の対象とするかを決めます。
(対象とする財産により申立先、収入印紙や切手の額、別途の費用の
予納の有無などが異なります。)
A必要な書類の準備
1 債務名義(判決、和解調書、調停調書等のことを指します。)の正本
2 送達証明書(相手方が債務名義を受領したことの証明書のことです。)
3 執行文(相手方に対して強制執行ができるという証明のことです。ただし、
少額訴訟や仮執行宣言付支払督促には不要です。)
判決などをした裁判所で、執行文の付与と送達証明書の交付をうけます。
<執行文付与申請>
申請書 1通
債務名義 1通
収入印紙 300円
<送達証明申請>
申請書
収入印紙 150円
<手続>
例)給料債権を差し押さえる場合債権差押命令の申立書の提出
執行文付債務名義の正本 1通
送達証明 1通
収入印紙(相手方が1人の場合、債務名義1つにつき3,000円)
切手、その他の添付書類
(不動産や動産を差し押さえる場合には、別途手続費用を
予納する必要があります。)
<管轄>
相手方の住所地を管轄する地方裁判所に仮差押命令申立書と上記の添付
書類を提出します。(不動産や動産を差し押さえる場合には、申立先が異なる
ことがあります。)
<陳述催告の申立>
同時に、「陳述催告の申立」をすれば、差押の対象となる債権の存否などに
ついて相手方の勤務先や相手方が預金を有する銀行など(第三債務者)から
回答を得ることができます。
<差押>
給料債権の差押の場合、相手方の給料の4分の1(月給で28万円を超える
場合には、21万円を除いた金額)を差し押さえることができます。ただし、相手
方が既に退職している場合などには、差押はできません。
<取立>
相手方(債務者)に債権差押命令が送達された日から1週間を経過したときは、
申立人(債権者)は相手方の勤務先など(第三債務者)から直接支払を受ける
ことができます。これに応じない時は、申立人は相手方の勤務先などに対して、
差し押さえた債権の支払を求める裁判を起こすことになります。
なお、他の債権者が重ねて差押をした場合には、裁判所が配当手続を行うまで
支払を受けることができません。