尿路結石症


*結石の出きる場所

  腎結石(腎盂結石)、尿管結石、膀胱結石、前立腺結石
     ---尿管結石が一番多い、しかも一番痛い---

*疫学

   罹患率: 人口10万対年間罹患数 53.2
    生涯罹患率 4%(一クラスに二人の勘定)
   年令: 20-50才(子供とお年寄りにはめずらしい)
   性別: 男/女:2-3/1
   部位:  年代、地域で異なる
   患測:  左右差無し、両側性10-20%,
 
   地域; 多発地帯(中近東、東南アジア、地中海)
   人種; 白人>黒人、
   気候; 高温乾燥地帯への移住者、
   食物; 青色野菜(蓚酸)、肉類(プリン)、ミルク製品(カルシウム)、
   職業; 肉体的、活動的仕事<事務的仕事

*結石のできる機序

   排泄過剰ー結晶化説 hyperexcretion th.
   結晶化阻止物質 crystalization th.
   マトリックス説 matrix th.
   エピタキシー説 epitaxy th.
            --要するにわからん--

*結石の種類(結石を分析するとわかる)

  1. 塩類 蓚酸カルシウム 、燐酸カルシウム 、
        燐酸マグネシウム・アンモニウム
        尿酸 、シスチン
  2. マトリックス(2.5%)
       ムコ多糖、ムコたんぱく
         --要注意は尿酸結石とシスチン結石なのだ---

*原因
 
A. 突発性結石症(90%はこれ、原因不明と言う意味))
B. 関連する病気
   1. 高カルシウム血、尿症を起こす病態
     a. 原発性副甲状腺機能亢進症 b. 体動の制限
   2. 酵素異常
     a. 高蓚酸尿症 b. キサンチン尿症
   3. 尿細管の異常
     a. シスチン尿症 b. 腎尿細管性アシドーシス
   4. 高尿酸尿症をおこす疾患
      痛風、プリン代謝亢進
   5. 二次結石
      感染、尿路通過障害

*結石の診断
 
 A. 臨床症状(三大主徴)
  1. 腹痛(疝痛発作)--とにかく痛い--
  2. 血尿 
   顕微鏡的血尿--本人にはわからない
   肉眼的血尿----尿をみればすぐわかる。
  3. 既往歴 (結石の治療をうけたことがある)
     30%のひとは再発する。

 B. 画像診断
   1. 腹部X線単純撮影 (KUB)
   2. 超音波(ECHO)
   3. 静脈性腎盂造影 (IVP),
   4. CT,
      ---KUBと超音波で90%は診断がつく

 C. 鑑別診断
    急性腹症(虫垂炎、胆石、消化管潰瘍)--とくに右側
    腎・腎盂腫瘍、尿管腫瘍
      ---腫瘍は命をうばう、結石は痛いだけ---

*治療

A. 対症療法
  1.指圧(痛いところを思い切り指で押してもらう)
      ---意外と良く効く--  
  2.くすり(鎮痙、鎮痛剤)
B. 自然排石の促進 
  1.水分摂取、
  2.運動(とにかく縄飛び、ジョギングなどなど)
C. 保存的療法 (食事、薬物)
    シスチン(重曹、チオラ)、
    尿酸結石 (重曹、アロプリノール )
          ---ごく一部の結石だけ---
D. 体外衝撃波結石破砕術(ESWL)
E. 内視鏡的摘出
  1. 経皮的腎結石摘出術 (PNL)
  2. 経尿道的尿管結石摘出術 (TUL)
      内視鏡:硬性 rigid、軟性 fiber
      破砕法:超音波、衝撃波、レザー
F. 手術
   腎切石術 , 腎盂切石術 、尿管切石術 , 膀胱切石術
     --手術になるのは100人にひとりぐらい、とにかく少ない--

*治療法の選択

1. 自然排石が可能か?(直径 10mm以下)
2. 保存的治療が可能か? (シスチン、尿酸結石のみ)
3. 摘出法の選択 (位置、大きさ)
   ESWL >TUL>> PNL>> 手術
4. 手術の適応
   腎機能の廃絶例、巨大結石、癌の合併、先天性奇形の合併
5. 基礎疾患の治療
   原発性副甲状腺機能亢進症、尿路奇形、下部尿路閉塞性疾患


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