中国緑化事業 レポート
日中緑化交流基金による中国(河北省)緑化事業推進のため訪中し、カウンターパートと協議を
重ねましたので、その概要をご報告します。
報告者 NPO法人サカズキネット国際交流担当運営委員:牧野光照
同行者 鳥取県文化観光局交流推進課東アジア交流係:山崎利幸氏
協議日 2007年6月6日〜7日(協議期間2日間)
用務地 中国河北省秦皇島市盧龍県

 はじめに
河北省が昨年5月に日中緑化交流基金の助成金活用による緑化協力事業の実施を鳥取県に要請し、
昨年10月にNPO法人サカズキネットが応募したところである。
昨年12月に、当NPOの牧野が河北省を訪問し(そのレポートは既にホームページに掲載)、NPO(鳥取
県の基本的方針を含む)と河北省林業局及び外事弁公室と協議、合意し、平成19年度の基金への申
請に向けた準備を進めることを確認した。


協議後、河北省側において、緑化候補地の選定、植樹樹種の選定、植樹事業主体の決定等の手続が
ほぼ終わった今年6月、上記により訪中した。
事業詳細の確認、決定、植樹候補地の確認等を行い、基金への申請手続に必要な書類、写真等を持
ち帰り、7月の提出日に向かって申請書類を作成しているところである。
 カウンターパート
協議者
  • 河北省外事弁公室
  • 河北省林業外資項目管理中心
  • 廬龍県人民政府
  • 盧龍県林業局(事業実施者)
廬龍県では、施業規模はまだまだ不十分であるもののすでに植林が計画的に行われており、植林後
の当地住民(主として農業者)による管理システムや行政による指導体制が築かれているため、
植林
育成管理等が失敗するリスクは低い
と思われた。
緑化のモデル事業となることも重要な意義と思われ、地域住民の参加が欠かせないが、植樹した苗
は請負契約によって村または個人が管理することになり、これまで林業局が実施した植林活動でも
同様の方式で成果を収めている。

                                                       協議中の写真はコチラ
 植樹地
植林予定地は、河北省廬龍県を流れる青龍河流域で、以前は水量の多い河川の一部であったが現在
は砂利を主とする荒廃地で、砂塵が舞うなどの深刻な汚染を招いている。

廬龍県では、数年来植林を計画的に進めており、予定地周辺には森林ベルトが散見された。
                                                       予定地等の写真はコチラ
                                                       盧龍県の位置はコチラ
廬龍県全体の森林被覆率は現在17.38%だが、目標値は30.3%としている。

盧龍県の位置 北緯3990分、東経11890分、海抜30m
盧龍県の人口:41.8万人。
農民1人当たりの年間純収入:3216元(2005年)
 スケジュール
当該緑化事業は、あくまでも日中緑化交流基金(小渕基金)の助成を前提とするものであり、その認
可は今後の審査を待つ必要があるものの、訪中して現地視察、現状説明の後は、緑化問題はすでに
中国だけの問題ではなく、韓国、日本を含めた広範囲な世界の問題であることが理解された。
当NPOは、小渕基金の認可のあることを信じて邁進したいと思う。
  • 7月上旬〜8月上旬    小渕基金へ助成申請
  • 9月上旬             助成認可内示
  • 10月頃              助成決定
  • 10月頃              植樹地で起工式
  • 11月〜3月           地拵え、水利・電力設備整備
  • 4月                 植樹ボランティア派遣、植林活動
  • 5月〜9月            現地住民による育成管理
  • 10月                状況確認、基金へ完了報告
 具体的植樹計画

主として、成長の早い楊(ポプラ)を植林する(欧美107楊、欧美108楊)。
ポプラの間に、低木の紫穂槐(えんじゅ)を植え、ポプラが大きくなると枯れてポプラの養分となる。
全体年次計画(1年毎の助成申請となる)

  • 第1年度 苗木購入 ポプラ88,200本、えんじゅ88,200本  植え付け 70ha
  • 第2年度 苗木購入 ポプラ86,580本、えんじゅ86,580本 植え付け 65ha
  • 第3年度 苗木購入 ポプラ86,580本、えんじゅ86,580本 植え付け 65ha
 余分な話
植樹予定地の直ぐそばに、何と古代の史跡が、当時のまんま残っていた。
昔は、大水が出た時は城壁の上に避難したとか(住民の体験談でありいかに昔は水が豊富であったか)
現在も城内で一般の住民の暮らしが営まれているとか、
とにかく我々の想像外の歴史的状況があった。
植林が進展した後は、森林公園と昔ながらの城壁をセットにした観光開発が期待される。
                                                         城壁の写真はコチラ


小渕基金TopPage