★はじめに
★訴訟
★調停手続
★支払督促
★少額訴訟 少額訴訟についての解説 (日司連HPへ)
★主な紛争の種類と裁判手続
★内容証明郵便
★日本司法書士会連合会のHPへ
はじめに
生きている時、又、死んだ後にもいろいろな紛争というのは起こります。お金を貸したが返してもらえない、離婚をしたい、境界について紛争がある、交通事故にあったので損害賠償したい、遺産分割ができない等々。そんな時、どのような解決方法を取ればよいのでしょうか。
貸金返還請求などは、法的手続にのっとり、解決する事が向いているといえるでしょうが、離婚問題については、親戚の人に仲介に立ってもらうとか、境界問題については、地域の自治会等で解決したり、必ずしも法的手続によらずに解決したほうがよい場合もあるでしょう。
どちらにしても、まずは、相手に自分がどのように考えているかを伝える事が先決となります。それから、話し合いができなければ、裁判等の法的手続を取る必要があるといえるでしょう。
法的手続と一言にいっても、訴訟、調停、督促手続等があります。民事紛争の解決手段の一つに訴訟がありますが、これは時間と労力が必要な上に、お互いに納得のいく解決が図られるとは必ずともいえません。できれば、お互いに譲り合って解決できれば、それに越した事はないでしょう。
訴 訟
訴訟は、判決によって解決を図る手続です。
訴訟は、裁判官が、双方の言い分を聞いたり、証拠を調べたりして、最終的に判決により紛争の解決を図る手続です。
お互いの言い分が食い違ったり、話し合いによって解決する事が難しい場合は、この手続による事が考えられます。
途中で、話し合いができる事が裁判官に分かれば、和解を勧められる事も有ります。
調停手続
調停には、民事調停法に規定される一般民事調停等、民事調停法の特別法としての「特定債務等の調整の促進のための特定調停に関する法律」に規定されるいわゆる債務の整理のための特定調停、家事審判法に規定される家事調停があります。
調停は、裁判官、民間人である調停委員を加えた調停委員会の仲介によって、相手方との話し合いでトラブルを解決する手段です。
調停委員会は、裁判官と調停委員2名以上で組織されます。
調停は、非公開の席で行いますので、他人に知られたくない場合にも安心して事情を話すことができます。
調停委員会は、調停期日で関係当事者からトラブルの実情を聴いて、もっとも適当な解決方法を考えて、これを当事者に勧めることになります。
調停では、ポイントを絞った話し合いをしますので、解決までの時間は、比較的短くてすみます。通常調停が成立するまでには、平均約3回の調停期日が開かれ、全体の70%以上が3ヶ月以内に解決されています。
<手 続>
原則として、相手方の住所地を管轄する簡易裁判所に調停申立をする。
調停期日が定められ、裁判所から当事者に期日の呼び出しがされる。
調停期日には、原則として当事者本人が出頭しなければならない。正当な理由がないのに、出頭しない時は5万円以下の過料に処せられることがあります。
当事者本人が病気その他やむを得ない事由で出頭できない時は、代理人を出頭させることができます。この際には、委任状の提出が必要です。また、弁護士以外の代理人は、調停委員会の許可が必要です。この許可手続は、本人又は代理人からすることになります。
本人と共に、補佐人を出頭させることができますが、この場合も本人から調停委員会に許可申請をして許可を得る必要があります。
調停は、最初は、各当事者が別々に調停室に入室し、調停委員会と話し合い、調停が可能となった段階になって、当事者双方が調停室に入室し、話し合いをします。
証拠調べ、事実の調査は、調停委員会が職権ですることになっていますが、当事者、調停に参加した利害関係人からも申し立てることができます。
裁判所は、合意が成立する見込みがない時に、相当と認める時は、調停委員の意見を聞き事件解決の為に必要な決定をすることができ、この決定に対して、2週間以内に異議の申立ができ、その期間に異議がなき場合この決定は確定し、裁判上の和解と同一の効力を有することになります。
全く、当事者の話し合いがまとまらない場合には、調停は、不成立となりますので、他の法的措置を講ずる必要があるでしょう。
なお、特定調停については、こちらへどうぞ。
支払督促
支払督促とは、貸金、立替金、賃金などを相手方が支払わない場合に、申立人の申立だけに基づいて裁判所書記官が行う略式の手続です。確定すると、判決と同様の効力が生じます。
相手方が、「お金がないので支払えない。」とか「そのうち支払いますよ」といってなかなかお金を支払ってくれないような場合には、この手続によることが考えられます。
但し、相手方が異議を申し立てると、通常の訴訟手続に移行します。
<特 徴>
紛争の対象となっている金額にかかわりなく、金銭の支払いを求める場合に利用することができます。
訴訟の場合の半額の手数料(印紙の額)と、郵便切手だけで、申立をすることができます。
書類の審査だけで発付されますので、訴訟の場合のように申立人が審理の為に裁判所に出かける必要がありません。
申立人は、相手方から異議の申立がなければ、仮執行の宣言を得て直ちに強制執行に移ることもできますので、紛争を早く解決することができます。
少額訴訟
少額訴訟は、民事訴訟のうち、少額の金銭の支払いをめぐるトラブルを速やかに解決するための手続です。
これは、簡易裁判所が管轄する訴訟事件のうち、特に少額で、複雑困難でない、訴額が30万円以下の金銭の支払請求を目的とする訴えについて、原則として、一回の期日で審理を完了して、直ちに判決を言い渡すことなどを内容とする特別の手続です。
1回の期日で終わらせるために、証拠などに制限が加えられています。
相手方は、少額訴訟手続によるのを望まないときには、通常訴訟への移行を申述することができます。
<特 徴>
30万円以下の金銭の支払をめぐるトラブルに限って利用できる手続です。
同一の簡易裁判所において、原告が、同一年に利用できる回数は、10回までです。
何度も裁判所に足を運ぶことなく、原則として1回の期日で双方の言い分を聞いたり証拠を調べたりして、直ちに判決の言渡しを受けることができます。
証拠書類や証人は、審理の日にその場ですぐに調べることができるものに限られます。
裁判所は、訴えを起した人の請求を認める場合でも、分割払い、支払猶予、遅延損害金の免除等の判決を言い渡すことができます。
少額訴訟判決に対して不服がある場合には、判決をした裁判所に不服(異議)を申し立てることができます。
主な紛争の種類と裁判手続
紛争の種類 支払
督促調停 訴訟 少額
訴訟※貸金、立替金 ○ ○ ○ ○ 売買代金 ○ ○ ○ ○ 給料、報酬 ○ ○ ○ ○ 請負代金、修理代金 ○ ○ ○ ○ 家賃、地代の不払 ○ ○ ○ ○ 敷金、保証金の返還 ○ ○ ○ ○ 損害賠償(交通事故ほか) ○ ○ ○ 家賃、地代の改訂 ○ ○ 建物、部屋の明渡し ○ ○ 土地、建物の登記 ○ ○ クレジット・サラ金問題 ○ ○
※ 30万円以下の金銭の支払を求める場合に限られます。
内容証明郵便
内容証明とは、郵便物のないようである文書について、いつ、どんな内容のものを、誰が誰に当てて差し出したかという事を、差出人が作成した謄本によって郵政省が証明する制度の事です。そして、この証明のある郵便物が、一般に内容証明郵便と呼ばれているものです。つまり、内容証明郵便とは、手紙であり、その内容が公的に証明されたものということができます。
ですから、個人や法人その他の団体が、権利義務の得喪や変更に関する重要な通知をする場合、その通知の内容を公的に証明してもらい、証拠として残しておくために、この内容証明の制度を利用します。内容証明郵便は、差出人が相手方に対して意思表示を行った事の具体的な証拠として極めて有効であり、これの存在によって、将来における紛争が回避されます。
内容証明郵便は、これが何時送達されたかを確認するため、配達証明郵便とするのが実務の通例となっています。契約の解除通知などのように形成的な効果を発生させる場合は、何時届いたが重要になります。従って、この場合は、配達証明を得て、証拠として残しておく事が、特に必要です。
一方、内容証明郵便には、上に述べた証明という本来的な効果のほかに、これを受け取ったものに対して心理的な圧力が加わるといった副次的な効果もあります。そして、この副次的な効果を巧みに利用した内容証明郵便が多いのも現実です。
内容証明郵便が、どのように利用されているかを大別すると、次のようになります。
1、確定日付けある証書による通知が必要な場合
債権譲渡の通知
民法第467条1項は、「指名債権ノ譲渡ハ譲受人カ之ヲ債務者ニ通知シ又ハ債務者カ之ヲ承諾スルニ非サレハ之ヲ以テ債務者其ノ他ノ第三者ニ対抗スルコトヲ得ス」と定め、第2項で、「前項ノ通知又ハ承諾ハ確定日付アル証書ヲ以テスルニ非サレハ之ヲ以テ債務者以外ノ第三者ニ対抗スルコトヲ得ス」としています。
上記にいうところの「確定日付ある証書による通知」をなすために内容証明郵便が利用されます。そして、この場合、配達証明も必要です。他の債権者からの債権差押の通知と競合する時など、通知到達の前後によって、譲渡が有効ともなり無効ともなります。
2、通知の内容が重要な場合
@形成的な効果を発生させるなど、権利義務の得喪や変更に関する重要な意思表示を内容とする通知がこの場合です。例えば、次のような通知です。
1 契約解除の通知 (民法第540条)
2 解除権の行使を前提とした履行催告の通知
(同第541条)
3 解除権を行使するか否かの確答を求める通知
(同第547条)
4 売買予約完結の通知 (同第556条)
5 賃貸借契約更新拒絶の通知
(借地借家法第26条)
6 賃料増額請求の通知 (同第32条、11条)
7 相殺の通知 (民法第506条)
8 弁済充当の通知 (同第488条)
9 債権放棄の通知 (同第519条)
10 消滅時効の中断のための催告 (同第153条)
11 遺贈につき承認するか放棄するかを問う受遺者
に対する催告 (同第987条)
12 遺留分減殺請求の通知 (同第1031条)
A通知の内容が重要であるため、通知の存在や内容が将来争われそうな場合です。例えば、次のような通知です。
1 保証人に対する保証意思確認の通知
2 身元保証人に対する使用人の任地変更等の通知
(身元保証に関する法律第3条)
3 委任事務処理状況報告の通知 (民法第645条)
4 契約無効確認の通知 (同第90条)
5 離婚届不受理の申出 (同第764条、739条)
3、通知の日付が特に重要な意味をもつ場合。
通知の日付(発信日又は到達日)が重要な意味をもつ場合で、上記1及び2の通知のほとんどは、これに当たります。特に次の通知です。
1 債権譲渡の通知 (民法第467条)
2 売買予約完結の通知 (同第556条)
3 相殺の通知 (同第506条)
4 抵当権実行の通知 (同第381条)
5 クーリングオフの通知
(国民生活センターのHPのくらしの豆知識より)
(訪問販売等に関する法律第6条その他)
内容証明郵便の作り方・送り方
@下記の制限のある文書を3通作成する。
・字数、行数に制限があり、1行が20字以内、1枚が26行以内。
同じ制限で、横書きも可能。
・字数の制限として、句読点や括弧も字数に入り、これらも1字と
計算する。
・訂正した場合は、行の頭に、何字加入、何字削除と書いて押印
する。
・相手の住所、氏名、自分の住所、氏名を記入する。
・自分の名前の横に押印する。
・封筒の表に、相手の住所、氏名、裏に、自分の住所、氏名を記入
する。
A郵便局に行き、窓口で、内容証明郵便を配達証明付きでお願いする。
・修正の為に、文書に押印した印を持っていくと便利です。