子どもたちをたばこの煙から守れ! 

不十分な分煙取り組み・保護者や地域の強力も
〜県内の学校 喫煙対策広がる〜
未成年者、特に小中学生の喫煙防止が望まれる中、鳥取県内の学校でも、教職員を対象に校舎内を禁煙にするなど、禁煙や分煙(周囲の人が煙を吸わないよう別室で喫煙すること)に向けての取り組みが広がり始めた。学校の喫煙対策を取材した。

学校の喫煙対策 (鳥取県教育委、昨年8月調べ)
  小学校 中学校 高 校 盲聾養
喫煙対策していない 15
喫煙対策している 145 58 28
  学校敷地内すべて禁煙
校舎内すべて禁煙 17
喫煙場所定める 122 57 28
特定場所のみ禁煙
禁煙・喫煙タイム設定
その他
 県教育委員会が昨年8月に行った学校教職員の喫煙対策調査(右表参照)によると、多くの学校で「喫煙場所を決め、他の場所は禁煙」とするなど喫煙対策を実施している。「学校敷地内はすべて禁煙」の完全禁煙学校はないものの、「公舎内は全て禁煙」が小学校で17校、盲聾養護学校で3校。また、喫煙対策をしていない学校のほとんどは「喫煙者がいない」という理由だった。
最低限のマナー
 3年前から校舎内での禁煙を実施している県東部の小学校では、屋外の屋根もない場所が喫煙場所。雨の日は傘をさし、雪の日は雪かきをして喫煙する涙ぐましい姿も。先生は「子どもの前で喫煙しないのは教員として最低限のマナー辛い場所だが我慢しなければ」と話す。
 調査によると「喫煙場所を定め他の場所は禁煙」とする学校は、小中高校、盲聾養護学校合わせて213校あるが、そのうち「仕切り、壁などで完全に分割」「仕切りなどはないが分煙機器でたばこの煙が周囲へ流れ出ない」とする学校は67校しかない。
 県PTA協議会環境対策委員会の松田隆委員長は「仕切りをした別部屋で喫煙するのが理想。カレーのにおいが部屋に残るように、たばこの煙の粒子もしばらく残り、害をおよぼす。煙の粒子という点では換気扇の効果はほとんど期待できない」と説明。喫煙場所をさだめている213校のうち、完全に分煙できているのは67校だけで、喫煙対策の強化が望まれる。
禁煙が理想
 たばこの害が小児ぜんそく、中耳炎、乳児の突然死症候群などの危険因子のひとつになっていることが最近、分かってきた。また、統計上だが、知能低下や、すぐに暴力をふるういわゆる”切れる”こととも関連があるとされる。
 県教育委員会の調査では、「運動会や学校開放などで喫煙対策を行っている」学校は半数にも満たないことも分かり、保護者や地域の人たちへの協力要請も課題のひとつになっている。
 松田委員長は家庭の協力も欠かせないと強調。「見本を見せるべき教員や大人が喫煙をしないのが理想。無理なら、分煙に向けて努力すべき」と指摘する。
 喫煙防止教育については、小学校では体育科保健領域の「たばこの害」で、中学校では「喫煙と健康」という内容で全児童生徒が学習している。子どもたちの学習したことが建前で終らないためにも、学校と家庭が一体となって禁煙、分煙に向けて取り組む必要がある。
 今年5月には「健康増進法」が施行され、公共施設の管理者には分煙の徹底が義務付けられる。鳥取市教育委員会は同法施行へ向け、4月には具体的な対策を打ち出す方針だ。また、県教育委員会は今月12日の県立高校校長会で初めて、分煙への取り組み徹底を呼びかけた。
 全国的には、和歌山県が昨年4月、すべての学校で敷地内の喫煙を禁止した。東京都の千代田区などが路上での喫煙を禁止するなど日本社会全体が喫煙対策に動いており、子どもを預かる学校でもさらに禁煙・分煙の取り組みが求められている。
日本海新聞 平成15年2月19日 (水) 掲載の記事より


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