エイズについて(詳しい解説)

(AIDS: Aquired Immuno-Deficienvy Syndrome、後天性免疫不全症候群)
 ---この項で述べるエイズは薬害エイズのことではない.-


病気について

1. これまでのいきさつ

免疫不全ウイールス(HIV)によって感染する性感染症.
1981年 アメリカ合衆国ではじめて発見された.
1983年 フランスのモンタニエ博士により病原ウイルスHIVが発見された.
1996年 世界中での感染者は2260万人,日本で3965人.
2000年 世界で4000万人が感染すると予測される.


2.感染のしくみ

*人間の免疫システムをコントロールするT4細胞を破壊する.
*T4細胞とはCD4陽性T細胞と同じで,リンパ球の一種.
*リンパ球とは白血球の仲間で,免疫を担当する.
*この免疫の機構が破壊されるので,
  いろんな細菌,カビやウイルスの攻撃に弱くなる.


2. 感染経路は
    1.性行為ーーー異性,同性の感染患者との性行為,性交やアナール
    2.母子感染ーーー感染した母親からうまれた赤ちゃへの感染
           胎内感染,産道感染,母乳感染の三つがある.
    3.血液感染ーーー麻薬,覚醒剤など感染者との注射器の共有
           
       日常的な接触で感染することはほとんどない.

3. 感染源
  感染源になるもの:血液、精液、腟分泌物、母乳
  感染源にならないもの:便、尿、鼻汁、タン、涙、汗

4. エイズ検査
  *血清の抗体検査のこと.
  *抗体は感染(性行為)後、3か月以内に陽性になる 
  *スクリーニング検査(PA法あるいはELISA法)が陽性なら
  *確認検査(ウエスタンブロットWB法)を受ける.
  *両方が陽性の場合(HIV陽性),エイズに感染しているという.
                       
 ----検査は保健所(無料のところが多い)や医療機関で.
     プライバシーは守られる           

5. 感染から発症まで
  (1) 急性ウイルス感染症状
     感染して2-8週間後--この時期のみ抗原陽性(抗体は陰性)
     発熱、リンパ節腫脹、咽頭痛、発疹、筋肉痛、関節痛、
     インフルエンザ、伝染性単核球症と診断されやすい.
       (感染者の10-20%しか症状がない)
  (2) 無症候性キャリアー(もしくは単にキャリアー)
     症状がなく、感染に気づかず経過する.
     抗体検査でのみ診断がつく.
     8-10年(平均約10年)
  (3) エイズ関連症候群 (ARC)
     エイズに特有の病状ではないが、そのまえぶれ.
     1カ月以上続く.
     からだの各部のリンパ節が腫れる.
     ひどい寝汗をかく.
     全身倦怠感、発熱、下痢、体重減少(10%).
  (4) エイズ発症
     エイズに特有の症状が出る(23項目)
     1.日和見感染症
      ---通常のヒトが感染しても発病しないような病気になる.
      (カリニ肺炎,カンジダ症,結核など)
     2.悪性腫瘍(がん)
        カポジ肉腫
     3.中枢性神経障害(脳症状)
        記憶力低下,失禁,筋力低下など
     ---発病して治療しないと,平均2年で75%が死亡する.

6. 治療法
  完全に治す薬はない.
  発病を遅らせたり,死に至るのを遅らせる薬はある.

7. 予防法
  1.性行為の相手を限定する.
   ーーー不特定多数は危険,はじめての相手とはコンドームを
  2.正しくコンドームを使用する.
  3.注射器を共有しない.

8. 他の病気との関連ーーーHIV疫学調査研究班1955
  エイズに感染している男性は30%がクラミヂアに感染している.
  エイズに感染している男性は24%が梅毒にも感染している.
  エイズに感染している男性は30%が肝炎にも感染している.




エイズ電話相談コーナー

 
1. 財団法人 エイズ予防財団 0120-177-812 
          ーーーフリーダイアル,平日,10:00-17:00
  

2. 各都道府県の健康推進課,エイズ対策課など
      例  東京ーーーエイズ対策課:03-5320-4485
         大阪ーーー予防係:06-941-0351
         神奈川ーーエイズ対策班:045-201-1111
         福岡ーーー感染症係:092-651-1111

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エイズ感染者状況(1997.1)

表1.日本のエイズ患者(厚生省)

                           ( )内は外国人

感染原因 男性 女性 合計
異性間性的接触 272 (60) 59(28) 331(88)
同性間性的接触 229 (35) 0 229(35)
静注薬物乱用* 9(5) 0 9(5)
母子感染 5(1) 3(1) 8(2)
凝固因子製剤** 632 9 641
その他 14(5) 7(1) 21(6)
不明 171(69) 37(25) 208(94)
合計 1,332(175) 115(55) 1,447(230)

*薬物乱用とは麻薬常習者のこと、
**凝固因子製剤とはいわゆる薬害エイズの患者さんたち

表2.日本のエイズ感染者(厚生省)

感染原因 男性 女性 合計
異性間性的接触 459(109) 576(423) 1,035(532)
同性間性的接触 451(68) - 451(68)
静注薬物濫用 12(8) - 12(8)
母子感染 6(1) 11(6) 17(7)
凝固因子製剤* 1,849 23 1,872
その他 22(8) 19(2) 41(10)
不明 191(105) 346(331) 537(436)
合計 2,990(299) 975(762) 3,965(1,061)

表3.年次別推移

感染原因 ’85 ’86 ’87 ’88 ’89 ’90 ’91 ’92 ’93 ’94 ’95 ’96 累計
総数 異性間の性的接触 0 0 26 18 34 34 123 253 170 194 227 287    1,366
同性間の性的接触 6 4 33 25 40 30 42 58 61 122 108 151 680
静注薬物濫用 0 0 0 0 1 2 3 3 2 3 2 5 21
母子感染 0 0 0 0 0 3 1 1 4 4 3 9 25
その他 0 1 8 7 6 6 1 7 6 6 5 9 62
不明 0 0 2 1 6 22 68 171 120 105 101 149 745
合計 6 5 69 51 87 97 238 493 363 434 446 610    2,899
男性 異性間の性的接触 0 0 16 9 20 16 46 89 83 105 153 194 731
同性間の性的接触 6 4 33 25 40 30 42 58 61 122 108 151 680
静注薬物濫用 0 0 0 0 1 2 3 3 2 3 2 5 21
母子感染 0 0 0 0 0 0 1 1 3 1 0 5 11
その他 0 1 4 3 3 1 1 5 2 4 5 7 36
不明 0 0 0 1 4 17 23 46 56 55 67 93 362
合計 6 5 53 38 68 66 116 202 207 290 335 455    1,841
女性 異性間の性的接触 0 0 10 9 14 18 77 164 87 89 74 93 635
同性間の性的接触 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
静注薬物濫用 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
母子感染 0 0 0 0 0 3 0 0 1 3 3 4 14
その他 0 0 4 4 3 5 0 2 4 2 0 2 26
不明 0 0 2 0 2 5 45 125 64 50 34 56 383
合計 0 0 16 13 19 31 122 291 156 144 111 155    1,058

表4.世界エイズ患者の状況

地域 患者発生の状況(人) 国名 患者数(人) 人口(千人)
アフリカ州(54か国) 553,291 タンザニア 82,174 23,174
ケニア 69,005 21,400
ジンバブエ 57,518 16,672
ウガンダ 48,312  7,989
アメリカ州(45か国) 749,800 アメリカ合衆国 565,097 248,710
フラジル 82,852 146,155
メキシコ 29,954 81,141
アジア州(43か国) 53,974 タイ 44,471 54,532
インド 2,940 844,324
日本 1,312 123,611
ヨーロッパ州(40か国) 179,339 フランス 43,451 56,634
スペイン 41,598 37,746
イタリア 35,949 56,557
オセアニア州(15か国) 7,596 オーストラリア 6,718 15,602
計(197か国) 1,544,067

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