DXビジョン・DX戦略

DXビジョン・DX戦略

「情報処理の促進に関する法律」に基づくデジタルガバナンス・コード3.0に対応し、当社のDXに関する取り組みを公表します。以下、同コードの柱立て(1.経営ビジョン・ビジネスモデル/2.DX戦略/3.DX戦略の推進〈組織・人材・ITシステム/サイバーセキュリティ〉/4.成果指標の設定・見直し/5.ステークホルダーとの対話)に沿って記載します。

DX推進に向けて -- 代表挨拶

私たちアピオンは、防災・行政システムの専門家集団として、地域の安心・安全を支えてまいりました。いま、その前提が大きく変わろうとしています。地方自治体は少子高齢化・職員不足・財政制約という構造的な課題に直面し、自治体DXの進展とともに、防災行政無線の運用管理もクラウドで管理することが標準になりつつあります。機器をお納めすることよりも、その後の運用をデータでどう支えるかが問われる時代です。

この変化に対して、変わらなければならないのは私たち自身だと考えています。これまでのやり方を続けるかぎり、障害が起きてから現地へ駆けつける保守から抜け出せず、営業は入札公告が出てから動く後追いのままで、売上は機器の更新周期に振り回され続けます。それは同時に、お客様への貢献の質が上がらないということでもあります。

そこで当社は、仕事のやり方そのものを変えます。保守は、機器の稼働データを解析して不具合の予兆を捉える予防保守へ。営業は、全国の自治体の予算編成や更新時期をデータで読み解き、先回りして提案する形へ。経営判断は、勘と経験ではなく、社内に蓄積したデータに基づく判断へ。防災行政無線の親卓・運用管理装置を自社で開発し、クラウドで提供していくのは、この新しい働き方を実現するための手段です。

これは一部の担当者の仕事ではなく、全社で取り組む変革です。その実現に向けて、私自身が先頭に立ち、経営と技術の意思決定を一体で進めてまいります。私たちが変わり続けることが、市民の皆さまが安心して暮らせる社会を支える力になると信じています。

(本DXビジョン・DX戦略の取締役会決定日:2026年6月29日)
株式会社アピオン 代表取締役 武本 純知

1. 経営ビジョン・ビジネスモデルの策定

行政インフラを革新し、
市民が安心して暮らせる社会をつくる。

(1)データ活用・デジタル技術の進化による社会及び競争環境の変化と、当社への影響(リスク・機会)

社会及び競争環境の変化:地方自治体は少子高齢化・職員不足・財政制約という構造的課題に直面し、国のガバメントクラウドや自治体システムの標準化が進んでいます。この自治体DXの進展により、防災行政無線の運用管理もクラウドでの管理が標準になりつつあり、入札仕様にも「クラウド対応」「遠隔監視」「運用データの可視化」といった要件が登場し始めました。生成AI・IoT等のデジタル技術の進化により、機器の稼働データ・放送ログ・災害情報といったデータを取得し活用できるかどうかが、当社の提案力・保守品質・受注機会を左右するようになっています。あわせて、自治体の予算編成・実施計画・入札公告といった情報は従来から公開されており、生成AIの進化によって、これらを横断的に収集・解析することが現実的になっています

当社が変わらなかった場合、リスクは次のように増大します
  • 応札機会の喪失:クラウド管理が標準となり仕様要件に明記された案件には、対応製品を持たない限り提案の土俵に上がれません。価格や関係性で挽回できない、入口で落ちるリスクです。
  • 運用体制の老朽化:老朽化した現行の運用体制のままでは、障害対応は現地への駆けつけと個人の経験に依存し続けます。メンテナンスコストが増大し、属人化が固定化します。
  • 顧客接点の喪失:稼働データを保有しなければ保守・改善の提案は経験則に依存し続け、データを握る事業者に日常の接点を奪われ、次期更新で指名されなくなります。
  • 営業機会の取りこぼし:全国約1,700の自治体それぞれの更新時期や予算編成の動きを、個人の人脈と経験でしか把握できなければ、入札公告が出てから動く後追いの営業に留まります。案件・顧客の情報が個人に紐づいたままでは、世代交代の局面で継承もされません。
  • 10年周期の売上変動リスクの固定化:防災行政無線の更新はおよそ10年周期であり、機器の仕入・転売によるフロー収益はこの波にそのまま従属します。ストック型収益比率が現状(約38%)のままでは、この売上変動が構造として固定化します。
同時に、いま取り得る機会は失われます
  • 運用標準を握る位置:先行して導入された製品が事実上の運用標準となり、遅れるほど参入障壁は当社ではなく他社の資産に変わります。
  • 長期の顧客関係:クラウド運用管理は乗り換えコストが高く、先行事業者が長期の関係を確保します。自治体数は有限であり、遅れた分だけ席が減ります。
  • 先回り営業の余地:自治体の予算編成や更新時期は公開データから把握でき、いま蓄積と解析の仕組みを作れば公告が出る前に提案できます。着手が遅れるほど、この先行の余地は他社に取られます。
  • 複数自治体への横展開:クラウド化した運用管理は一度構築すれば複数の自治体へ展開できます。元請事業者を通じた他地域への展開も「クラウド対応製品を持つメーカーであること」が前提になりつつあります。

当社が変わる場合の機会:防災行政無線の運用管理を制御するソフトウェア・データ領域は、自治体ドメイン知識・ソフトウェア開発力・データ活用力を併せ持つ事業者だけが担える領域です。クラウド化によりログ解析の自動化と複数自治体への横展開が可能になり、ストック収益化が進みます。当社は自治体との直接の運用接点と自社開発力を併せ持っており、仕入転売型からソフトウェアとデータで価値を生む製品メーカーへ転換する好機と捉えています。

(2)経営ビジョン

上記のリスクを回避し機会を獲得するため、当社は「現場で確実に動くインフラ」と「クラウド・データ活用の利便性」を両立させ、持続可能な行政運営に貢献することを経営ビジョンとして定めました。デジタル技術で事業構造そのものを転換し、地域の安心・安全を支える存在を目指します。

(3)ビジネスモデルの方向性

このビジョンを実現するため、地域の通信インフラ(ISP・データSIM)を基盤に、上記のリスク・機会に直接対応する次の3事業を展開します。

  1. 防災行政無線(260MHz帯デジタル同報)の親卓・運用管理装置の自社開発・提供

    同報系防災インフラを制御する親卓・運用管理装置を自社開発し、ソフトウェア資産で価値を生む製品メーカーとして提供します。

  2. 通信インフラ事業(ISP/データSIM)

    複数キャリアのMVNO・ローミングを組み合わせ、地理的死角のない接続性を提供し、IoT機器の通信基盤としても展開します。自社サービスとして提供するため、親卓・子局の通信手段を自ら設計でき、回線の契約・利用状況も自社で把握できます。

  3. 自治体・地域企業のDX支援(クラウド移行・システム再構築)

    オンプレミス資産のクラウド移行、可用性設計、コスト最適化を、お客様の課題を起点に支援します。自社製品のクラウド化で得た実践知をそのままサービス化するものです。

これらを貫くコア戦略として、同報の確実性とクラウド・データ活用の利便性を繋ぐ「ハイブリッド運用管理」を据え、フロー収益からストック収益への転換を図ります。

2. DX戦略の策定

1.で示したリスクを回避し機会を獲得するため、ビジネスモデル①〜③のそれぞれを実現するための方策として、次のDX戦略を推進します。各戦略は「どのデータを、どう分析・活用し、何を変えるか」の形で定めています。

(1)稼働データのログ解析による予防保守・更新提案

ビジネスモデル①を実現する方策|対応:応札機会の喪失/運用体制の老朽化/運用標準を握る位置

親卓・運用管理装置を「単一のコアをオンプレミス/クラウドの両方にデプロイできる」アーキテクチャに刷新し、クラウド管理が標準となった案件に応札できる状態を先行して確保します。そのうえで、親卓・子局の稼働状態、放送ログ、障害履歴、機器の設置年次をクラウド上に収集・蓄積し、ログ解析を自動化して故障の予兆と更新時期を分析します。これにより、現地への駆けつけと経験に依存した運用から予防保守と計画的な更新提案へ転換し、メンテナンスコストを抑えながら、価値の源泉を機器の納入からソフトウェアとデータへ移します。あわせて自治体クラウドのセキュリティ要件(LGWAN-ASP/ISMAP等)への適合を見据えた設計を進めます。

(2)回線データと稼働データを繋ぐハイブリッド運用管理

ビジネスモデル①②を実現する方策|対応:顧客接点の喪失/長期の顧客関係

当社のISP・データSIMを親卓・子局の常時接続回線として組み込み、同報無線の確実性とIP/クラウドの利便性を二重化した「ハイブリッド運用管理」を構築します。当社が提供する回線の契約・利用状況と、装置側で取得する疎通・稼働の記録を突き合わせて分析し、通信品質の劣化や解約リスクの高い顧客を早期に特定して優先的にフォローします。これにより、納入時点で関係が終わる取引から、運用データを介して自治体と日常的に繋がり続ける関係へ移行します。

(3)自治体・案件データを活用した先回り営業への転換

ビジネスモデル①③を実現する方策|対応:営業機会の取りこぼし/先回り営業の余地

全国約1,700自治体の予算編成サイクル、防災行政無線の更新周期、過去の案件発生履歴を、案件・顧客・対応履歴等の社内データとあわせてNotion上に整備し、AIエージェント等のデジタル技術を用いて分析します。ここから翌年度に予算化される可能性の高い自治体を絞り込み、予算編成が始まる時期に先回りして提案します。個人の人脈と経験に依存していた営業をデータに基づく計画的な営業へ転換して受注サイクルの偏りを平準化するとともに、暗黙知だった自治体ドメイン知識を形式知として蓄積・継承します。

(4)ストック収益への転換と新規ビジネスの創出

ビジネスモデル①③を実現する方策|対応:10年周期の売上変動リスク/複数自治体への横展開

(1)〜(3)で蓄積した稼働データと運用ノウハウを、サブスクリプション型のクラウド運用管理サービスとして提供します。クラウド化した運用管理は一度構築すれば複数の自治体へ横展開でき、10年周期の更新需要に従属するフロー収益から継続課金のストック収益へ転換して売上変動を平準化します。あわせて、自社のクラウド移行で得た知見を自治体・地域企業向けのDX支援サービスとして外販します。

(5)ビジネスモデルとDX戦略・成果指標の対応関係

増大するリスク/失われる機会ビジネスモデルDX戦略成果指標(4.)
応札機会の喪失/運用体制の老朽化・メンテナンスコスト増大/運用標準を握る位置①親卓・運用管理装置の自社開発(1) 稼働データのログ解析による予防保守・更新提案クラウド対応の親卓・運用管理装置の製品化
顧客接点の喪失/長期の顧客関係①+②通信インフラ(2) ハイブリッド運用管理クラウド対応の親卓・運用管理装置の導入自治体数
営業機会の取りこぼし/先回り営業の余地①+③DX支援(3) 自治体・案件データによる先回り営業データに基づく提案を行った自治体数
10年周期の売上変動リスクの固定化①③(4) ストック収益への転換ストック型収益比率(約38% → 3年で50%超)

3. DX戦略の推進

3-1 組織づくり

  • DX戦略は代表取締役(経営者)自らが推進責任者として策定・推進し、経営判断と技術判断を一体で運用する体制を構築しています。
  • 外部リソースの活用:無線機メーカーとのアライアンス、外部コンサルタント、AI開発支援ツール等、従来の受発注関係にとどまらない外部リソースを活用しています。
  • 各人(経営者から現場まで)が主体的に動けるよう役割と権限を定め、DXへの投資をコストではなく必要な投資として位置づけ、挑戦を促します。

3-2 デジタル人材の育成・確保

  • 全従業員のデジタルリテラシー向上を重視し、日常業務でNotion・AIエージェント等のデジタルツールを標準活用。実務を通じてスキルを高め、一人ひとりが複数領域を担えるようリスキリングを推進します。
  • クラウド・セキュリティ・生成AI領域の資格取得を奨励・支援し、情報セキュリティマネジメント試験等の取得を会社として支援します(2028年3月までに技術者の半数以上の取得を目標)。
  • 新卒採用(技術営業)による人材確保と内部育成を計画的に進めます。

3-3 ITシステム・サイバーセキュリティ

ITシステム環境の整備に向けた方策
  • DX戦略(1)(2)で扱う機器の稼働データ・放送ログ・回線データを収集・蓄積・解析するクラウド基盤(収集経路・蓄積先・解析環境)を構築し、オンプレミス環境との接続を含めて可用性とセキュリティを設計します。
  • DX戦略(3)の分析基盤として、案件・顧客・対応履歴等の業務データをNotionに一元化して部門横断で可視化・共有し(属人化の解消)、文書・ファイルはDropboxでクラウド集約してペーパーレス化を推進します。AIエージェントを業務支援基盤として運用し、議事録作成・資料作成・調査等の定型業務を効率化します。
  • ITシステム・データ等の情報資産の現状を定期的に分析・評価して課題を把握し、技術的負債(レガシー化)を回避する設計・運用ルールを整備します。
  • 自治体クラウドのセキュリティ要件(LGWAN-ASP/ISMAP等)への適合を見据えた設計・運用ルールを整備します。
  • これらの整備には、開発要員の確保を含めた計画的な投資を行います。
サイバーセキュリティ対策の推進
  • IPA「SECURITY ACTION」二つ星を自己宣言(2026年6月)。
  • プライバシーマーク(JIS Q 15001)に基づく個人情報保護マネジメント体制を維持・更新。
  • 情報セキュリティ基本方針に基づき、守るべき情報の特定・従業員教育・アクセス管理・インシデント対応体制を整備。ISP事業者として通信の秘密・設備管理に関する法令を遵守します。

4. 成果指標の設定・DX戦略の見直し

(1)DX戦略の達成度を測る指標

指標現状目標
ストック型収益比率約38%3年で50%超
クラウド対応の親卓・運用管理装置の製品化構想段階1〜2年で初号機(β)リリース
クラウド対応の親卓・運用管理装置の導入自治体数03年で複数自治体に導入
データに基づく提案を行った自治体数03年で年間30自治体
重大インシデント件数0件0件を維持
情報セキュリティ教育の受講率100%100%を維持

※各指標とDX戦略の対応は、2.(5)の対応表のとおりです。
※自治体入札の仕様に「クラウド」要件が登場し始めており、先行してクラウド対応の親卓・運用管理装置の開発を進めています。

(2)課題把握とDX戦略の見直し

  • 経営者のリーダーシップの下で、デジタル技術に係る動向や自社ITシステムの現状を踏まえた課題把握を実施しています。具体的には、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の「DX推進指標」を用いた自己診断を2026年6月に着手し、同年7月にIPAの入力サイトより提出しました(受付番号 202607AH00002931)。
  • 自己診断では、経営者自らがDX戦略の構築と製品開発を主導している点を強みとして確認する一方、「保有データの発掘・整理・管理」「経営陣によるデータ活用」「全社を巻き込む推進体制」が着手段階に留まることを課題として把握しました。この結果を踏まえ、2.(1)〜(3)のデータ整備・活用と、3-1の推進体制づくりを優先して進めます。
  • 自己診断は年次で継続し、指標の推移を成果指標・DX戦略の見直しに反映します。
  • 取締役会設置会社として、取締役会がDX施策の執行を定期的にモニタリングし、その意見を踏まえて経営陣が戦略・成果指標を年次で見直します。

5. ステークホルダーとの対話

  • 経営ビジョン・DX戦略について、代表取締役が自ら対外的にメッセージを発信しています(本ページ冒頭「代表挨拶」)。
  • DX戦略・その実行上の課題・成果指標・具体的施策を本ページで公表し、顧客・取引先・地域社会・就職希望者等のステークホルダーとの対話に努めます。
  • デジタル人材の育成・確保に関する考え方を公表し、就職希望者を含むステークホルダーに発信します。
  • 情報セキュリティ基本方針の開示を通じて、サイバーセキュリティに関する取り組みを開示します。
SECURITY ACTION ★★(二つ星)自己宣言 プライバシーマーク

株式会社アピオン 代表取締役 武本 純知

公表日:2026年6月29日/最終更新:2026年6月29日


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