”癌の治療”は”癌を持ったヒト”の治療に大きく変わりつつある。その中での癌対策には臓器別の各科領域から脱皮し、医者サイドだけでなく全職域に支えられたトータルな協力体制が必要である。当院でも着々とそうした体制作りが進んでいるが、各人が癌対策のどの分野を担っているかを認識するためには何か”旗印”が欲しいものである。
各地の癌センターの資料から当院にあてはまるような項目を選び”癌対策10箇条”なるものを作製してみた。
1. 癌登録
2. 1次予防
- 地域啓蒙活動ーー講演、新聞、院内パンフレット、ビデオ
3. 2次予防、集団検診(早期診断と予防)
- 集団検診が有効な癌、発見率が向上出来る癌の見直し
- 早期癌発見の新しい診断技法の開発、導入(特に難治癌)
- 胃癌、子宮癌、乳癌、肺癌、大腸癌検診の実地、報告
- 検診法(細胞診など)の有効性の再検討
4. 診断と治療法の進歩改善(治療率の向上)
5. インフォームド‐コンセントの普及
6. QOL(生活の質)を軸にした治療への変貌
- QOLに基づく癌治療効果の判定(病期の治療から病人の治療へ)
7. リハビリテーションの制度化
- 医療におけるボランチアとは
- 当院におけるボランチアの可能性
8. 自然死までの長期ケアー
9. ターミナルケアーのシステム化(ホームホスピス)
- ホスピス棟か在宅ホスピスか
- 在宅治療の確立
- 病院医、家庭医、介護センターの三者チームワーク
- 癌告知の意義
10. 癌情報化への対処(院内、国内、国外)
- 学会、研究会での発表、参加による情報交換
- 院外研究者とのタイアップ
- インターネットの活用
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禁煙は第一次予防の第一歩であり、癌対策の初歩である。これに対処できない地域、病院は他の何をやってもムダ。禁煙への取り組みと癌への取り組みはイコールであり、癌への取り組みがルーズな所は禁煙への取り組みもルーズである。それほど象徴的な問題であるが当院の対応は。
職場での喫煙がひどすぎる。仕事中にタバコを吸うな。来客に吸わせるな。どこの職場でも当たり前のことが出来ない。喫煙する職員の割合は多くないはずであるが出来ない。なぜなら各職場のボスがやめないから。とくに医者と事務関係が最大の障壁。外来、病棟詰所、研究室、仕事机から灰皿を一掃願いたい。喫煙は喫煙室で。たばこをすわれるお医者様の御託は聞き飽きた。いい加減に観念してほしい。(ほんとは各職場で猫に鈴をつけたいヒトが数人いるだけだが)
アメリカの病院では病院の建物全体が禁煙である。医療従事者で喫煙者は病院内にはいない。常識人は次の3つを拒否しなくてはいけないという。1.肥満、2.喫煙、3.深酒。いずれも自制心があれば克服できるもの。逆に言えばこの3つを拒否できないひとは自制心がないヒト。
禁煙宣言の出来ない病院に癌対策をつべこべ言う資格があるのだろうか。情報通ならおわかりのことと思うが病院が禁煙宣言すらできない事情がある。実にお恥ずかしい話である。病院の職場で。
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