ホスピス(末期癌患者さんへの対応)

終末期医療とは

 癌が全身に拡がり、積極的治療の方法が無くなった場合の患者さんを末期癌患者と総称します。そしてこの患者さんに行う医療を終末期医療といいます。あまりいい言葉ではありませんが癌でなくなる患者さんはすべてこの段階を経ることになります。

在宅療法(ホームホスピス)

 終末期医療をどこで受けるかは大きな問題です。日本では病院か自宅での2箇所が選択可能です。病院のなかでもホスピス形式をとる特殊な病院もあります。

 多くの癌患者さんの最後を病院で見送った経験から痛感することは、”病院で死を迎えることはハッピーではない”ということです。

 現在のところ、90%以上のヒトは病院を選択します。なぜか?

 自宅で終末期を過ごすのにいいことがあるのか。その理由は

 自宅療養で受けられるサポートとは?

 病院の主治医、家庭医、看護介護センターの3つの柱をうまく利用することによって、自宅での終末期癌療養も快適なものになる。

緩和医療とは

 終末期医療(治療ではありません)では患者さんの苦痛をいかに取り除くかが問題になります。癌患者がそのひとらしい生をまっとうするにはそれを拒む要素を排除しなければいけんません。いわゆる尊厳死につながる問題です。

 こういった終末期の患者さんの苦痛をやわらげることを緩和医療といいます。癌の転移に由来する肉体的苦痛、死をまじかにせまった精神的苦痛、排泄(排尿、排便)が自分でコントロールできない屈辱的な苦痛などです。このうち薬(服薬)でコントロールできるのが肉体的苦痛です。

モルヒネについて

 末期癌患者の痛みのコントロールはモルヒネが主です。モルヒネは麻薬の一種ですが、この10年のあいだに医療用麻薬の使用に関する法律が改善されたこと、麻薬の副作用に対する誤った考えが是正されてきたこと、モルヒネを成分とする新しい薬剤が開発されたことなどの結果、モルヒネによる痛みのコントロールが見直され現在に至っています。
 
 しかし、我が国では、患者さんや家族、もちろん一部の医療関係者もふくめてモルヒネの使用に関してはまだまだ根強い抵抗感があります。医療用モルヒネの使用料は先進国の十分の一です。

 もちろんモルヒネにも副作用があります。その最大のものは便秘です。しかし、この副作用もなんとか薬でコントロールできます。副作用を恐れて、末期癌患者さんの疼痛をコントロールするための、モルヒネ使用を躊躇しないことです。

 大事なことは
1.痛みがおこってから服用するのではなく、痛みがおこらないように服用すること。
2.量はいくらふえてもかまいません。
3.便秘を注意深くコントロールすること。
4.薬を飲めなくなっても坐薬、点滴、皮下注射など替わる手段もあります。

 残る月日がそれほど長くない患者さんを目の前に、家族(特に配偶者)の思いは測り知れないものがありますが、医療の範囲で我々が最大限できること、そして最も効果が得られるのの一つがモルヒネを用いた疼痛緩和です。そして、痛みをうまくコントロールすることは、残り少ない生に真正面から向かっておられる患者さんには不可欠なことです。
 

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