新英語研究会第34回全国大会

「すべての子どもに外国語を学ぶ喜びと平和な未来をひらく力を!」

カミセン The Coming Centure 21世紀に生きる英語教育

 ・とき  7月30日〜8月2日

 ・ところ 宮城県松島町ホテル大観荘

 第6分科会

 

「英語劇指導と私の授業」

ー生きる力をつけるためにー

 玉木 由美(東京都・花保中)

 ・英語劇指導について

 @英語劇との出会い。

 教科書から抜け出せないでいたとき、たまたま他の学校の先生から区の英語劇に出てもらえないか、といわれたのがきっかけ。

 A英語指導の年間の流れ。英語部が中心。生徒で何をやるかとことん話し合わせる。ここが一番大事。それから内容の話し合い、脚本づくり。衣装、大道具などの計画。夏休みの2週間で、衣装、大道具づくり。立ち稽古。2学期から毎日舞台練習。10月区大会、11月に文化祭発表。玉木先生の英語劇の最大 の目的は、「自校の文化祭で自分の生徒たちに、カッコイイ英語劇を見せたい」ことだという。3学期に文集づくり。

 B英語劇の大きな変化。劇に出演した生徒は、自分への自信、英語への自信。 授業でもリーダーになる。英語力もつく。英語劇を見た生徒たちは、英語でなんかやるとかっこいい、自分もやりたい、と思うようになり、授業での劇、スキットがやりやすくなる。

 ・英語の授業で大切にしていること

 @とにかく楽しく、わかりやすく。いつの間にか覚えていた、という気持ちをもたせたい。

 A発表形式を多くし、様々なグループ形態で、スピーチ、スキット、劇などをしくむ。

 B英語の歌を最初に歌う。レッスンのテーマに合った歌、新出文法内容の英文の入った歌を使う。

 C自己表現をたくさんさせる。

 D英語のレシーピで料理を作るなど、他教科との関連をはかる。

 E世界の様々な問題、生き方を問うことなどを持ち込む。

 F生徒の気持ちを大切にし、一人の感想は全員に返す。

 ・広島修学旅行と英語の授業

 @韓国への旅で気づいた韓国への想い、広島への想いを語る。

 A修学旅行の事前指導としてスライド、ビデオを見せる。ピースメッセージの作成する。

 B修学旅行中。外国人観光客へのインタビュー、ピースメッセージの交換。

 C事後指導。英字新聞作成。平和をテーマにしたスピーチコンテスト。

 ◎玉木先生の発表を聞くと元気が出る。明るく、何事にも前向きで、いかにも 英語教師を楽しんでいるのが伝わってくる。この元気を元は何か。玉木先生は、発表のまとめに次のように書いている。「英語教師である以上、英語の基礎、技術は身につけさせなければならない。だが、それだけが目的であれば、私は今日まで英語教師を続けてはいなかったと思う。英語で何かを『語る』以上、『語る』方法のみに終始せず、『語る』内容を大切にしたい。(中略)授業の中で考えたこと、自分はどのように生きていくのかという問いかけ、また世界の出来事と自分との関わりなどから、全ての生徒にとって生きる土台となる英語の授業でありたいと、強く思う。そして、その生きる力となるものを、英語を通して学び、英語で自分の想いを語り合える授業をめざしていきたい。そんな授業をめざしている今、英語教師であることがとても楽しくてたまらない のである。」なぜ英語教師をしているのか、英語で何をどのように教えたいのか。原点に戻って考えてみないといけない。そのとき、玉木先生の実践は大きな示唆を私たちに与えてくれる。そして、その場その場のおもいつきの実践にならないように玉木先生がレポートで示しているように、指導内容を生徒に提示し、これができたらいいんだ、という見通しを持たせることがとても重要である、と痛感した。

 

「生徒たちが主人公!の授業づくりを」

  谷浦 健司(大阪・住之江高)

 ・英語学習の具体的取り組み

 @毎学期のはじめにどんな授業をしてほしいかアンケートをとる。

 A英文文化祭ポスターを班ごとに作成。

 B英文暑中見舞い、英文年賀状をALTに出す。継続する。

 C英文日記を月1回書く。

 D毎時間歌を紹介する。生徒に好評。

 Eテストに感想欄をもうけ、感想、要望を書かせ、授業改善に生かす

 ・生徒会の取り組み(谷浦先生は、生徒会担当)

 @要求アンケートを実施し、結果を全校に知らせた。

 A生徒総会。アンケートの結果をもとに、開く。生徒たちは活動方針案の第一に授業をわかりやすく教えてほしい、などの授業改善の要求を掲げた。生徒たちは意見を出せる環境を得たことで主体的になりつつある。

 ◎谷浦先生は、生徒たちの願い、要求をつかみ、生徒たちを主人公にした授業づくりをすすめている。また、いろいろな機会をとらえて英語で表現をすることを大切にしている。この時、日頃の生徒との人間関係ができていないと、生徒たちは表現しない。心しておかなければならないことである。資料にある生徒のメッセージで、楽しい授業、おもしろい授業だとして生徒たちから支持されていることがわかる。  あとの質疑応答でも出たが、生徒たちに要求アンケートを実施すること自体なかなかできることではないだろう。無理難題の要求もあるが、「世の中のことをもっと学校で教えてほしい」などという要求もある。大切なのは、生徒たちに願いや希望を出させることである。「先生はなんでも聞いてくれるので、言うだけですっきりすることが多い。でも言うたら言うたでがんばらなあーっていっつも思う。」「学習観、子ども観がかわれば、いい教育はできる。」谷 浦先生のことばである。こうした姿勢を学び、行動していかなければ、と思う。

 

「クラスに仲間を呼び戻した英語劇」

  中沢 文明(山梨・第一商業高)

 2年後、統廃合により廃校が決まった高校。生徒たちへ少なくない影響を与えている。意欲を示さない生徒や不登校ぎみの生徒たちに多くの教師が関わり励まし続けている。「遅れがちな」生徒に目を向けている。

 ・ふだんの英語の授業

 @授業プリントの活用。教科書をなくした生徒も多いこともあって、2人の教師が交代でプリント作成。時間内に仕上げ、授業後提出させ、普段点をつけている。この普段点で赤点を免れる生徒もいる。

 A毎時間英語の歌から授業を始めている。

 B音読重視の授業展開をしている。「読めないと覚えられない」という生徒に答え、読みの練習をもっとも集中させる。

 ・英語劇の取り組み

 16年前からクラス対抗英語劇を本校では伝統として取り組んでいる。国際理 解委員会で演目を決定し、各クラスで練習。予選を経て、3クラスが決勝大会にのぞむ。決勝大会では、大道具、衣装も本格的なもので行う。  実際の取り組みでは、役割分担がすんなり決まらなかったり、主役級が英語の不得意な生徒だったり、不登校気味の生徒だったり、というようにさまざなまな困難があったが、リーダーや友人の力でやりきった。 ◎授業中に寝ている生徒は必ず起こす。起こされた生徒は、不機嫌な顔をしたり、「ムカツク」と言ったりする。中沢先生は、「金儲けのためには地球・環境破壊など構わないというような考えに対してムカツこう。」と生徒に言う。 廃校が決まっている学校で、問題を抱えた生徒たちを前にして中沢先生は、「上の子ばかり大事にしないで」という学校に寄せる声、期待に応えたい。「すべての生徒に豊かな外国語の基礎学力を」保障したい、とレポートをむすんでいる。発表で見た英語劇のビデオで生徒たちは一生懸命アリババと40人の盗賊を演じていた。どんな学校でも、どんな生徒たちでも、教師が心を開いて生徒たちと共に取り組んでいけば、道は開ける。中沢先生の明るさ、おおらかさを学びたい。

 「ヒューマンな英語の授業の創造」

   阿原 成光(法政大)
1、教材は授業の命
 ・教科書からどうぬけでるか。教科書の検討。
 ・教材づくり25年。
2、自己表現こそ人間らしさ
 ・到達目標は、解釈から自己表現へ
 ・反復練習で定着し自己表現へ
3、音声は生きている証
 ・英語らしく発音ー息をたくさん出す、口を大きく動かす、強弱を大げさに
          言う。   ・英語らしくリーディングー強弱リズム読み、意味とり区切り読み
4、キラキラしてなきゃグラマーじゃねえ
 ・表現のための文字、語彙、文法学習
5、人類の生存をかけた”みんな道”
 ・みんなで共に学んで人間らしくなろうよーペア・グループ・助け合い学習
6、教材の中の深い想いさがし
 ・深くて重くて豊かな想いをくみとって子どもたちのものにしようよ
7、観念から実践の平和教育へ  ・国内的実践から地球的実践へ、子どもたちに直接声で筆で交流を   Global Communication for Peace and Children's Happiness
8、ゆっくり食べる奴ほどしっかり飲みこむ
 ・牛のような学び方を大切にしよう
 ・すべての子どもにたしかでゆたかな学力の保障を(エリートのためだけで  はありません)   ・がんばり教室
 ・学び方ー教科書ノート、練習ノート、暗誦、暗写
9、子どもたちの笑顔のための英語指導法
 地球時代の「民族の課題に応える外国語教育の確立をめざして」
 ・人間らしく生きるための文化的英語教育
 ・たったひとつの価値ある存在を励ます評価の教育(到達度評価)
 ・指導者が原点、子どもがNo1の自主、創造の授業
 ・借りものでない自分自身で考えたindependentな目的論
◎阿原先生の37年間の総括を聞けたことをとてもうれしく思う。30ページあまりの資料をもとに話をされた。時間の関係で十分な話は聞けなかったのがなんとも心残りだが、阿原先生の話しぶり、また、ビディオで見た生徒たちの姿から、英語教育にそそぎ込んでこられたあつい情熱が伝わってくる。どのようにまとめたらいいかわからないが、上のレジメにある、1から9までの発表の柱から阿原先生が大事にしてこられたことの一端が伝わってくるだろう。私の関心からすれば、冒頭の「教科書からどうぬけでるか」という話にまず引き込まれた。残念ながら私はいまのところ教科書から抜け出ていない。教科書の検討、優れた教材の研究と授業への導入の大切さを感じる。なんのために英語を教えるのか。どんなことを大切にして英語を教えるのか。こうした根底的は問いをされたような気がする。日々の忙しさにかまけて、大事なことを忘れてしまっていたことをまざまざと思い知らされた。37年間、英語教育に情熱を注いできた教師がいる、という事実を忘れないようにしながら、私も阿原先生から学んだことを少しずつ実践に生かしていきたい。

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